老人ホーム・介護施設の種類や特徴と選び方を解説
高齢者の家族を老人ホームまたは介護施設に入居を検討しているが、どのように進めていくのか困ると思います。
その悩みを解決できる内容をまとめました。老人ホーム・介護施設の種類や特徴・選び方について説明します。
老人ホーム・介護施設の入居を検討している方が参考にして頂けたら幸いです。
1.老人ホーム・介護施設の種類
老人ホーム・介護施設は、8種類に分類され、「民間によって運営されている施設」と「公的な施設」に分かれます。
一覧表の1.~4.は「民間施設」5.~8.は「公的施設」です。
入居の条件は、施設によって異なります。介護保険制度による介護認定度や認知症の有無などが入居条件に含まれるケースが多いです。
※ 施設の違いを分かりやすく明記するために、一覧表にしました。
老人ホーム・介護施設の種類一覧表
種 類 | 自 立 | 要支援 1~2 | 要介護 1~2 | 要介護 3~5 | 認知症 | 認知症 重度 | 看取り | 入居の しやすさ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.介護付き有料老人ホーム | △ | △ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
2.住居型有料老人ホーム | △ | ○ | ◎ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ |
3.サービス付き高齢者向け住宅 | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ | △ | ○ |
4.グループホーム | × | △(※1) | ○ | ○ | ◎ | ◎ | △ | △ |
5.ケアハウス | ○ | ○ | △ | △ | △ | × | × | △ |
6.特別養護老人ホーム | × | × | × | ◎ | ○ | ○ | ○ | × |
7.介護老人保健施設 | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | △ |
8.介護医療院 | × | × | △ | ○ | ○ | ○ | ◎ | △ |
1.介護付き有料老人ホーム | |
---|---|
自 立 | △ |
要支援1~2 | △ |
要介護1~2 | ○ |
要介護3~5 | ◎ |
認知症 | ◎ |
認知症重度 | ◎ |
看取り | ◎ |
入居のしやすさ | ○ |
2.住居型有料老人ホーム | |
---|---|
自 立 | △ |
要支援1~2 | ○ |
要介護1~2 | ◎ |
要介護3~5 | ○ |
認知症 | ○ |
認知症重度 | △ |
看取り | ○ |
入居のしやすさ | ○ |
3.サービス付き高齢者向け住宅 | |
---|---|
自 立 | ○ |
要支援1~2 | ◎ |
要介護1~2 | ◎ |
要介護3~5 | ○ |
認知症 | ○ |
認知症重度 | △ |
看取り | △ |
入居のしやすさ | ○ |
4.グループホーム | |
---|---|
自 立 | × |
要支援1~2 | △(※1) |
要介護1~2 | ○ |
要介護3~5 | ○ |
認知症 | ◎ |
認知症重度 | ◎ |
看取り | △ |
入居のしやすさ | △ |
5.ケアハウス | |
---|---|
自 立 | ○ |
要支援1~2 | ○ |
要介護1~2 | △ |
要介護3~5 | △ |
認知症 | △ |
認知症重度 | × |
看取り | × |
入居のしやすさ | △ |
6.特別養護老人ホーム | |
---|---|
自 立 | × |
要支援1~2 | × |
要介護1~2 | × |
要介護3~5 | ◎ |
認知症 | ○ |
認知症重度 | ○ |
看取り | ○ |
入居のしやすさ | × |
7.介護老人保健施設 | |
---|---|
自 立 | × |
要支援1~2 | × |
要介護1~2 | ○ |
要介護3~5 | ○ |
認知症 | ○ |
認知症重度 | ○ |
看取り | △ |
入居のしやすさ | △ |
8.介護医療院 | |
---|---|
自 立 | × |
要支援1~2 | × |
要介護1~2 | △ |
要介護3~5 | ○ |
認知症 | ○ |
認知症重度 | ○ |
看取り | ◎ |
入居のしやすさ | △ |
◎充実した対応 ○受け入れ可 △施設によっては受け入れ可 ×受け入れ不可
※1は、要支援2から
※ 民間施設と公的施設の違いについて
【 民間施設 】
一般企業などの民間企業が運営をしているのが、民間施設です。
公的施設と比較すると、費用は高めですが、サービスは充実しています。
待機者が少なく、入居しやすさが特徴です。
【 公的施設 】
社会福祉法人のような認可を受けた法人が開設・運営しているのが、公的施設です。
国などの補助金により建てられているため、民間施設と比較すると費用は休めです。
待機者が多いので、入居しにくいです。
費用の目安
種 類 | 入居金相場 | 月額相場 |
---|---|---|
1.介護付き有料老人ホーム | 0~580万円 | 15~28万円 |
2.住居型有料老人ホーム | 0~21万円 | 9~16万円 |
3.サービス付き高齢者向け住宅 | 0~20万円 | 11~19万円 |
4.グループホーム | 0~15万円 | 10~14万円 |
5.ケアハウス | 0~30万円 | 9~13万円 |
6.特別養護老人ホーム | なし | 8~12万円 |
7.介護老人保健施設 | なし | 7~13万円 |
8.介護医療院 | なし | 7~13万円 |
1.介護付き有料老人ホーム | |
---|---|
入居金相場 | 0~580万円 |
月額相場 | 15~28万円 |
2.住居型有料老人ホーム | |
---|---|
入居金相場 | 0~21万円 |
月額相場 | 9~16万円 |
3.サービス付き高齢者向け住宅 | |
---|---|
入居金相場 | 0~20万円 |
月額相場 | 11~19万円 |
4.グループホーム | |
---|---|
入居金相場 | 0~15万円 |
月額相場 | 10~14万円 |
5.ケアハウス | |
---|---|
入居金相場 | 0~30万円 |
月額相場 | 9~13万円 |
6.特別養護老人ホーム | |
---|---|
入居金相場 | なし |
月額相場 | 8~12万円 |
7.介護老人保健施設 | |
---|---|
入居金相場 | なし |
月額相場 | 7~13万円 |
8.介護医療院 | |
---|---|
入居金相場 | なし |
月額相場 | 7~13万円 |
※ 上記の金額は、目安の金額です。地域や施設によって、金額が異なります。公的施設のほうが、料金が低額です。
2.老人ホーム・介護施設の特徴とメリット・デメリット
8種類の老人ホーム・介護施設について、それぞれ特徴とメリットやデメリットについて解説していきます。
入居する施設を選ぶ際に参考にして頂きたいです。
専門の介護士が施設内に常駐し、24時間体制でケアを実施するタイプの有料老人ホームです。
65歳以上の方が入居の対象となります。基本的には、介護専用型(要介護の方のみ可)、混合型(自立、要介護の方のどちらも可)の2種類に分けられます。
まれに”入居時自立”を条件とした「自立型」もあります。
医療・看護の態勢が整っているのと、娯楽も充実しています。
- ・基本的に、終身住み続けることができます。
医療体制が整っているので、看取りや重度ケアに対応できる施設が多いです。 - ・施設数が多くあるので、待機することなく入居可能です。
- ・公的施設と比較すると、費用は高めです。
入居金・月額ともに他の施設より高額です。
60歳以上が入居の対象で、自立している方からある程度の要介護度がある方まで幅広く多く入居する施設です。
外部の介護サービス(訪問介護など)を利用しながら生活する施設です。
居室は完全個室で基本的にはワンルームなので、夫婦で住むことも可能です。
- ・イベントやレクレーションが充実しています。
他の入居者と交流をしながら過ごすことも出来ます。 - ・外部のサービスを利用して生活できるので、自分に合ったサービスを受けることが可能です。
- ・重度の要介護や長期入院になった場合は、済み続けることが困難となります。
自立した高齢者も入居可能で、バリアフリー対応の住宅です。
施設ではなく「住まい」なので、入居する際に結ぶ契約は、基本的に賃貸借契約となります。部屋は個室です。
「一般型」と「介護型」のサービスがあります。それらの違いについて説明します。
「一般型」は、介護が必要となったとき、訪問介護など外部在宅サービスを利用します。
施設内のスタッフは、安否確認サービスと生活相談サービスの提供をしますが、介護サービスを受けることはありません。
「介護型」は、厚生労働省の定める「特定施設」の指定を受けていることが挙げられます。
一般型とは異なり介護が必要になったときは、建物内に常駐するスタッフから介護サービスや生活支援サポートを受けることができます。
よって、介護度が高い方でも入居しやすいです。
- ・プライバシーが尊重され、入居者の生活リズムに合わせて過ごすことができます。
- ・体調の悪化や要介護度の進行、月々の賃貸料が支払えない、入居者の迷惑行為などがあった場合は、退去になることもあります。
認知症の高齢者が、専門スタッフの援助を受けつつ5人から9人のユニットで共同生活する介護福祉施設です。
入居の対象者は、原則65歳以上、医師に認知症の診断を受け、集団生活を営むことに支障がなく、施設と同一の市区町村に住民票がある方です。
少人数で共同生活をし、認知症の進行を遅らせるために、食事や清掃などの家事全般は、基本的に入居者同士が協力して行います。
- ・認知症ケアの知識と経験を豊富に持つ職員が常駐しています。
- ・アットホームな施設なので穏やかに過ごし、認知症の進行を遅らせることができます。
- ・介護士は24時間体制で常駐していますが、看護師の配置は義務付けられていないので、医療的なケアの提供は乏しいです。
- ・定員が少ないため満室のことが多く、即入居が難しいケースが多いです。
「自宅での単身生活に不安がある」「家族の協力を受けられない」といった事情を持つ高齢者向けの施設です。
ケアハウスは、一般型と介護型の2種類あります。
一般型の対象者は、独居生活に不安がある60歳以上の高齢者で、掃除や洗濯、食事の提供、そして緊急時の対応をします。
介護型の対象者は、独居生活に不安がある要介護1そして65歳以上の方で、身の回りの世話と機能訓練や通院の付き添いなどがあります。
居室は個室ですが、トイレや浴室・食堂は共同利用です。
- ・共有スペースがあり、他の入居者とレクレーションなど交流を図ることができます。
- ・個室なので、プライバシーの確保ができます。
- ・待機者が多く、入居するまで期間を要します。
- ・認知症に関しては、受け入れてもらえるとは限りません。
重度の要介護状態の高齢者に介護サービスを提供する施設で、原則として要介護3以上の65歳以上の高齢者が入居条件です。
介護保険によって低価格でサービスを受けることができ、看取りまで対応可能です。
居室は、4~6人部屋が多く、個室もあります。
介護度が高いため、身の回りの世話を中心としたサービスを提供しています。
- ・他の施設と比較して、料金が安いのが特徴です。
- ・低料金から入居までの待機期間があります。
地域によっては、10年待機するところもあります。 - ・夜間は、看護師の滞在は無いので、日常的な医療ケアが必要な場合は入居ができない可能性もあります。
退院後すぐに在宅生活に復帰できない状態の高齢者が、自宅で生活するためのサポートをするため、数ヵ月程度滞在することを目的とした施設です。
入所者の在宅復帰を目指した施設のため、ほかの介護施設に比べて入所期間は短いことが特徴です。入居基準は要介護1以上で、要支援は入れません。
医師の常勤が義務付けられ、医師の指示のもとに医療行為を行っています。
看護師だけでなく、理学療法士や作業療法士・言語療法士などの専門職が常駐しています。
- ・待機する期間は比較的短く、3ヵ月~半年程度である。
- ・専門スタッフのもと、機能訓練が充実しています。
- ・看取りの実施は、施設によって異なります。
- ・施設医の指示のもと、内服が処方されます。
入居中に内服の調整をすることもあります。
(不要な薬の排除をすることもあります)
介護医療院は、2018年に創設されたばかりの施設です。
要介護の高齢患者(利用者)に対して、医療・介護だけでなく、生活の場を提供しています。
喀痰吸引や経管栄養、検査、処置などの医療ケアから看取りも行っています。
入院は必要がないが、老人ホーム・介護施設は不安という方が利用していることが多いです。
- ・病院に併設されていることが多いので、容体の変化時の対応が可能です。
- ・専門スタッフからリハビリを受けることができます。
- ・病室内は、パーテーションで仕切られているため、プライバシーが確保しづらいです。
3.老人ホーム・介護施設の選び方
老人ホーム・介護施設の選び方について、1から4の手順で説明します。
最後の、注意点も考慮しましょう。
1.入居する目的を明確にする
現在の生活の中で、不安や不便などを感じていることを明らかにしましょう。
例:認知力が低下して1人暮らしが困難となった、家事ができなくなった…
入居になる理由を挙げてみます。
2.自分に適した老人ホーム・介護施設を考える
現時点での生活状況や自立度、介護度、理解度などを考慮し、どの施設が適しているのか考えます。
検討するときは、予算と立地、サービス内容なども確認しましょう。
※ 都市部の老人ホーム・介護施設は、待機者が多く入居しづらいです。
例を挙げると、息子家族は都市部に住み、両親が地方に住んでいるケースです。
都市部の施設が入りづらいため、地方の施設に両親を入居させることが多くあります。
3.老人ホーム・介護施設を探しましょう
入居する施設は、候補として1施設ではなく、2~3施設挙げましょう。
インターネットの情報だけでなく、パンフレットを取り寄せることもおすすめします。
インターネットの情報は、明記されていない情報もあることも考慮しましょう。
4.見学に行って比較検討しましょう
事前に施設に連絡をし、必ず、見学しましょう。
施設の建物の中の様子や入居者、働くスタッフなどを見ます。
施設内の安全配慮や清潔に保たれているかも確認しましょう。
見学に同行したスタッフには、質問をしましょう。
見学をしてから入居する施設を決定することをおすすめします。
※ 注意点
日本の高齢化社会に伴い、介護事業を拡大している運営会社が見られています。
入居する施設の経営状況は、必ず把握しておきましょう。
なかには、事業を拡大し過ぎて倒産している施設もあります。
スタッフが不足し、入居者のケアに目が行き届かない施設もあります。
インターネットやパンフレットに記載してある情報とは異なるサービスの提供をしている場合もあります。
なかには、「見学をしてから入居を検討するべきだった」という声も聞かれます。
見学時によく見極めてから入居を考えましょう。
そして、知人などが入居している場合は、評判などを聞いてみるのも良いです。
4.まとめ
老人ホーム・介護施設の種類や特徴から選び方について解説しました。
それぞれの施設には、特長があるのでメリットとデメリットを考慮しましょう。
今回紹介した施設の特徴などは、あくまでも一般的な内容です。
施設独自のサービスを提供している場合もあります。
施設を入居する場合は、目的を明確化し、利用者に適したサービスが提供できるところを探しましょう。
そのためには、事前に施設の特徴を調べ、見学をすることが必要です。
実際に施設内を見学して、雰囲気などを把握してから入居することをおすすめします。
(岡野 恭子)
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