第9回 医療総合支援セミナー 開催報告
令和7年6月5日に第9回医療総合支援セミナーを開催しました。
「医業経営・財務 一問一答」というタイトルの講演で、講師は山田英脩先生。
まず決算資料の基本概念について:一定期間の会計活動結果を示し、収支・損益や財政状態を反映する概念をPL(損益計算書)BS(貸借対照表)を用いて資産、負債、純資産の状況を把握。現金、固定資産、借入金などのバランスが重要。
費用の分類による管理会計の意義
・ 変動費:医療行為に応じて発生し、収入増に比例して増加(材料費、委託費など)
・ 固定費:売上がゼロでも発生(人件費、建物の減価償却費、リース費用など)
収益改善と目標設定の手法には、各診療科ごとの粗利益、労働分配率、人件費率の差異を踏まえた経営戦略が必要
・ 収入増加と費用削減のため、単価交渉力、現場管理、在庫管理が重要
・ 固定費は経営者の意思によって起こるから予算管理が不可欠
減価償却費の仕組み
・ 建物や設備などの初期投資は、耐用年数に応じた定額または定率法で費用化し、当期の経費として計上
・ 初年度に全額費用化せず、長期に分散して計上することで当期損益との乖離を調整
経営実績のトレンド分析
・ 3期比較と月次の過去1年合算グラフによる推移分析
› 年間・月次の売上高や各種利益推移から、将来の3月決算時の着地見込みを予測する手法を紹介
・ キャッシュフローの注意点
今後の医療法人のあり方についてはM&Aおよび規模拡大戦略
› 病院経営におけるM&Aは単純な規模拡大ではなく、地域市場での「隅を取る」戦略として位置付け
› 自院内のルートや対象地域との連携を強化し、外部仲介業者に頼らず自律的な取り組みが望まれる質疑応答に見る経営戦略の方向性
こういった内容で、約30名の聴衆のアンケートではかなり好評で、よくわかったなどの意見が多く寄せられました。
次回もより多くのニーズに沿った、皆様のお役に立てるセミナーを企画してまいります。詳細が決まりましたらご案内させて頂きますので、ぜひご参加くださいませ。



