子どもが体調を崩した時にふと思う疑問を解消!Q&A形式で徹底解説!

子どもは、頻繁に体調を崩します。子育て中のお母さん、お父さんは、急な子どもの体調不良でいつ小児科に行ったらいいのか、市販の薬で大丈夫なのか、いろんな疑問が浮かぶことはありませんか。今回は現役ママに聞いた、子どもの体調不良の時に疑問に思うこと、7つについてQ&Aで解説します。

1. 粉薬の飲み方について

質問:5歳の子どもがいます。粉薬の飲ませ方について、いつも悩みます。種類によっては、飲むことを嫌がります。薬剤師さんや小児科の先生に、嫌がるときはアイスやジュースに混ぜてみてと言われました。けど、柑橘系ジュースだと苦味が増すとか、チョコレートアイスなら相性がいいとか、色々説明があり、正直いつも分からなくなります。そのまま飲ませた方がいいのか、もし何かに混ぜていいなら、相性の良し悪しも知りたいです。

回答:小児科や耳鼻科に受診したときに、先生からもらうことが多い粉薬。粉薬は、薬に甘いコーティングをすることで、苦味を抑えた味になっています。粉薬はできるだけ、そのまま飲むか、水または湯ざましで溶いてください。5歳くらいになると、病気を治すために薬を飲まなければならないことも理解できるころなので、飲む前に薬の必要性についても伝えてみてください。
どうしても嫌がるときは、ジュース、アイスクリーム、プリンなどお子さんの好きなものと混ぜることもおすすめです。混ぜるときは、必ず飲ませる直前に少量のジュースやアイスなどに混ぜてください。混ぜたまま長時間放置すると苦味が増したり、変質したりすることがあります。また、多量のジュースなどに混ぜてしまうと、すべて飲まないといけなくなるので、量には注意してください。

抗生剤は、薬自体が苦いものが多いです。酸性度の強い飲み物(オレンジジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料、ヨーグルト等)と混ぜるとくすりのコーティングがはがれ、苦味が出るお薬があります。薬を混ぜた時の相性は、表1をご覧ください。表を参考にして、お子さんの好みを見ながら組み合わせてみてください。

粉薬の飲み方について

2. 鼻水や咳が続くときの受診するタイミングについて

質問:保育園に通う5歳と3歳の子どもがいます。よく体調を崩して、鼻水や咳が長引きます。
母親の私も仕事をしていて、できるだけ受診する手間はない方がいいのですが、どのタイミングで受診したらいいのか分かりません。病院に行く目安などがあれば教えてもらいたいです。

回答:保育園や幼稚園に通っているお子さんは、色んな子どもたちと関わるので、体調を崩すことが多くなります。鼻水が続く時、せきが続く時、それぞれの対応についてお伝えします。

1. 鼻水が続く時
鼻水が出始めたら、子どもが吸ってしまう前に、しっかり鼻をかんであげましょう。鼻水は、色の違い(黄色なのか、透明なのか)、形状の違い(サラサラしているのか、ドロドロしているのか)を確認することが重要です。

以下のような時は、耳鼻科を受診し適切な治療を受けましょう。

  • ・ 黄色の鼻水が出る(ウイルスや細菌に感染していることがあります。)
  • ・ ドロドロの膿(うみ)のような鼻水が出る(鼻水が膿のようになって副鼻腔にたまって  いるかもしれません。)

色のついていない水のような鼻水は、寒冷や花粉などの刺激によるものが多いようです。このような場合でも、鼻水症状が長引くと中耳炎を併発することがあります。様子をみていても続くときは一度、耳鼻科を受診しましょう。

2. せきが続く時
せきは、気管や気管支にウイルス、細菌、異物などが侵入したりするのを排除しようとする防御反応です。発熱はなく、良いが眠りかけや朝起きたとき、走ったときに出るせき、睡眠、食事、運動が妨げられない苦しさのないせきなどは、様子を見て、症状に応じて受診してください。

もしせきが出て息苦しくて、生活に支障がでる、以下のような時は早めに受診してください。

  • ・ せきで息苦しくて、横になれない、動けない
  • ・ 1日中せきが止まらない
  • ・ 犬の遠吠えやオットセイの泣き声のようなせき込みをしている

また、顔色や唇の色が青い(チアノーゼ=酸素があまり吸えなくなっている)時は、至急、受診が必要です。

子どもは、せきが出ることがよくありますが、つらそう、息苦しそうなどの症状などがないか、お子さんの様子をしっかり観察してください。

また、病院を受診するべきか、判断が難しい場合は、こどもの医療電話相談「#8000」に連絡し、相談してみましょう。こどもの医療電話相談に連絡すると、住まいの都道府県の窓口につがります。看護師などが電話対応、症状ごとの対処法や受診する病院のアドバイスなどをしてくれます。時間帯は自治体によって異なるため、前もって確認しておきましょう。[2][3]

3. 子どもの体調不良の時、受診する科について

質問:4歳の子どもがいます。鼻水が続く時に、小児科と耳鼻科どっちに行けばいいのか、悩みます。判断の目安などがあれば、教えてほしいです。

回答:お子さんの様子をしっかりと見て、鼻水以外の症状の有無を確認してください。
発熱があったり、息苦しそうにゼーゼーしているなど、鼻水の他に全身症状がある場合は、小児科を受診しましょう。
発熱はないけど、鼻水が止まらない、せきが出る、耳を異常にかゆがっているなど、鼻・のど・耳の症状がひどい場合は、耳鼻科を受診しましょう。耳鼻科は、鼻・のど・耳の専門医です。これらはつがっている器官です。風邪や病気の後にのどや鼻の症状だけが残っている時にも、その箇所に特化した治療が受けられます。

もし、どちらに行けばいいか悩んだ時は、まずは、小児科を受診して全身に何か異常がないか確認してもらいましょう。[4]

4. 余った薬の管理方法について

質問:5歳の子どもがいます。小児科の先生から発熱のためもらったけど、使わなかった薬が余って家で保管しています。他にもシロップで出してもらったこともありますが、子どもの薬の消費期限は処方されてからどのくらいでしょうか。また保管方法などあれば教えてもらいたいです。

回答:粉薬とシロップの薬、それぞれの対応についてお伝えします。

1. 粉薬
粉薬は、その包装のまま薬以外のものと区別して缶やネジ蓋のついたビンなどの密閉容器に入れて保管しましょう。乾燥剤も入れるとより安心です。粉薬は、湿気などに注意して正しく保管すると、品質を保つことができます。しかし、同じ症状だからと思い、勝手に判断して残っている薬を飲むことは危険です。子どもは、症状について詳細に説明することが難しく、大人が見ていて同じ症状だと感じても、原因が違う場合もあります。また、病院で処方された薬は、子どもの体重やその時の症状に合わせて調整しています。具合が悪くなり、薬を飲まなければならないような時は、医師の診察を受けましょう。

2. シロップの薬
赤ちゃんや粉薬が苦手な子どもに液体のシロップの薬をもらうこともありますが、液体の薬は、水などが加えられていることがあるため、長く保存できません。冷蔵庫で保管し、処方された日数を目安にしてください。[5]

5. 自分で購入できる市販の薬とクリニックなどでもらう薬の違いについて

質問:6歳と2歳の子どもがいます。子どもの体調不良の時に、ドラッグストアなどで子供用の市販薬(せきどめ液など)を使ったことがあるけれど、お医者さんが処方するお薬と何が違うのかなと疑問に思ったことがあります。違いについて教えてほしいです。

回答:病院で先生に処方されてもらう薬は、医療用医薬品と呼ばれています。作用や使用方法などの医師や薬剤師などの専門家による管理が必要なお薬です。診察した時点でのお子さんの病状にあわせて種類や量が決められています。
ドラッグストアなどで自分で買える薬は、一般用医薬品や要指導医薬品、OTC(over-the-counter drug)などと呼ばれています。一般の人が薬剤師などのアドバイスのもとに薬局やドラッグストアなどで購入できる薬です。購入の際は、店舗の薬剤師さんから説明を受けたり、分からないことは、聞くことができます。自身で選んで、判断するため、より安全性が確保できる配合になっています。また、効能・効果は、熱、鼻水、せき、胃痛、など症状から薬が選択できるようになっているものが多く、使用量や使用方法などをわかりやすく記載した説明書(添付文書)がついています。自分で買える一般用医薬品は、比較的誰にでも使いやすいように工夫されています。[6][7]

6. 解熱剤の座薬と粉薬の違いと座薬の使い方について

質問:3歳の子どもがいます。熱が出て解熱剤をもらうとき、薬が座薬の時と粉薬の時があります。違いについて教えてほしいです。また、座薬の使い方がいまいち分からず、使ったときすぐに出てきてしまったことがあり、その時は焦りました。どうしたらよかったのでしょうか。

回答:子どもで安全性が確立されている解熱鎮痛剤は、アセトアミノフェンという成分の薬です。同じ成分であれば、熱を下げる効果は、粉薬でも坐薬でも同じです。ただし、坐薬は腸から直接吸収されるため、効果が早く現れます。子どもが苦しそうで早く熱を下げたい時、また吐き気があったり、体調がつらくて粉薬を上手に飲めない時は、坐薬を使うといいでしょう。逆に下痢が続いている時などは、座薬は使いづらいので粉薬がおすすめです。

座薬の使い方は、坐薬を包装から取り出し、指先またはティッシュペーパーなどでつまみます。子どもを仰向けに寝かせて両足を持ち上げ、坐薬のとがった方から肛門に入れ、4~5秒おさえてください。薬が入りにくい場合は、薬の先端に小量の水やベビーオイルをつけるか、薬が少し溶け始めるまで肛門に押し当てておくと、入りやすくなります。座薬が出てきてしまった場合ですが、入れた直後にそのままの形で出てきたら入れ直してもかまいません。坐薬は、体温ですぐ溶け、5分も経過すれば相当量が吸収されます。10分以上経ってから出たときは、薬が吸収されている可能性があるので、入れ直さずに様子をみてください。[8][9]

7. 抗生物質について

質問:5歳の子どもがいます。子どもが体調を崩して受診した時、抗生物質をもらうことがあります。良くなっても必ず最後まで飲むように言われるけど、どんな薬なのか教えてほしいです。

回答:抗生物質は、細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬のことを指します。細菌の構造や増えていく仕組みのどこかを邪魔して効果を発揮します。もともと人間の体には、病原体がやってきたら排除する、免疫という働きがあります。その役割を持っているのが白血球で、体のなかをパトロールしていて、病原体を見つけたら戦います。しかし、免疫だけでは病原体を退治できない場合は、抗生物質などの薬で治るようにサポートします。
このように、抗生物質は細菌をやっつけてくれるのですが、使う必要がないときに使ったり、使い過ぎると、人の体の中にいる良い細菌を殺してしまうことがあります。結果として下痢などの副作用が出てしまいますので、飲み方は必ず医師の指示に従ってください。

また、抗生物質を飲んでいて良くなっても、細菌の退治が終わったわけではありません。ここで抗菌薬をやめてしまうと、また症状がでてきてしまう可能性もあります。原因の細菌を完全に退治するべく、処方された抗生物質は最後まで飲み切りましょう。[10][11]

まとめ

今回は、子どもの体調不良の時にふと思う疑問について、Q&Aでお伝えしました。お子さんが体調を崩したときは、焦らずに様子を観察してください。どうしたらいいか自身で判断ができない時は、早めに医療機関に相談してください。

(菅村 理恵)

参考文献
  • 1. 国立医療センタ―
    [ https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/medicine/210330.html ]
  • [2] 子どもの発熱等で受診に悩んだときは – 子育て情報サイト – 水戸市ホームページ
    [ https://www.city.mito.lg.jp/site/kosodate/41928.html ]
  • [3] 受診の目安は? 西東京市Web
    [ https://www.city.nishitokyo.lg.jp/kosodate/chiikikosodate_center/012_qanda/jyusinn.html ]
  • [4] 参考一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会 一般皆さんへ
    [ https://www.jibika.or.jp/modules/citizens/index.php?content_id=1 ]
  • 1. お薬の保管方法|お薬の注意事項|慶應義塾大学病院
    [ https://www.hosp.keio.ac.jp/annai/raiin/kusuri/kusuri_15.html ]
  • [6] 厚生労働省:医療用医薬品と一般用医薬品の比較について
    [ https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0906-6c.html ]
  • [7] Q1 医師が処方するくすりと市販のくすりはどのようにちがうのですか?|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
    [ https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0025.html ]
  • [8] お薬Q&A|国立成育医療研究センター
    [ https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/medicine/ ]
  • [9] 家庭でできる応急手当てがあります!〜いざというときのために〜
    [ https://www.city.suzuka.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/592/first-aid.pdf ]
  • [10] 抗菌薬とは|感染症の基本|一般の方へ|かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~
    [ https://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-3.html ]
  • [11] 処方された抗菌薬は医師の指示通り服用しましょう|私たちができること|一般の方へ|かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~
    [ https://amr.ncgm.go.jp/general/1-6-2.html ]