どうして頭痛が起きるの?頭痛の種類と特徴、つらい頭痛の改善法をご紹介します
頭痛に悩まされている人はたくさんいます。日常的に頭痛が生じるような「慢性的な頭痛」はなぜ生じるのでしょうか?
頭痛にはいくつか種類があり、症状ごとに特徴や改善法が異なります。
今回の記事では、頭痛の種類や発生する原因、症状ごとの改善法をご紹介します。自分の頭痛がどういったものなのかを知れば、適切な対処法で症状を和らげることができるでしょう。
頭痛ってなに?
頭痛は、多くの人が悩んでいる疾患であり、日本人の3人に1人が患っているとも言われています。
痛みにより日常生活に支障をきたしている方もいるでしょう。
頭痛には、命に関わらない場合と、命に関わる疾患を抱えている場合があります。
自分の頭痛がどちらに当てはまるかを把握して、重大な病気を見逃さないようにしてください。
頭痛には2種類ある
頭痛は、大きく2種類に分けられます。
1つは「一次性頭痛」です。これは、頭痛の原因になる病気がなく、純粋に頭痛だけが生じているというものです。慢性的な頭痛は、主に一次性頭痛に分けられます。
もう1つの「二次性頭痛」は、病気が原因で引き起こされる頭痛です。脳や血液に病気を抱えている場合に生じ、危険性の高い病気が隠れていることもあります。
代表的な一次性頭痛
一次性頭痛は原因になる病気がない頭痛です。
慢性的に、繰り返し同じような痛み方をするのが特徴的と言えます。
一次性頭痛には数多くの種類がありますが、主なものは緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛の3種類です。
頭痛によって発生原因や対処法が異なります。自分の頭痛がどのタイプに当てはまるかを知って、有効な対策を取れるようになりましょう。
緊張性頭痛
緊張性頭痛は、一次性頭痛の中で最も多い頭痛です。
頭の両側に締め付けられるような痛みを伴うのが特徴で、頭や体を動かしても痛みは悪化しません。
一日中痛みが続きますが、日常生活に強い支障を与えるほどの痛みではないことが多いです。
男女比は2:3で、やや女性に多いです。
【原因】
発生原因として、頭や肩、首の筋肉の緊張や血流の悪化が考えられています。
ストレスや緊張が原因になることもあるようです。遺伝が原因になることは少ないです。
発生原因として以下が挙げられます。
- ・ 頭や肩、首の凝り
- ・ 姿勢の悪さ
- ・ ストレス
【対処法】
緊張性頭痛は主に筋肉の緊張で生じるので、凝りを和らげることで楽になります。
運動やストレッチをして、筋肉をほぐすようにしてください。入浴など体を温めて血流を良くするのも効果的でしょう。
片頭痛
片頭痛は、名前の通り頭の片側だけが痛む頭痛です。
痛みが脈打つようにかんじるのが特徴で、頭や体を動かすと痛みが悪化します。頭痛が生じる前には、視界に光がチラついて見えるなどの前兆が生じることが多いです。
痛みがひどいため日常生活に支障をきたすこともあります。
頭痛だけでなく、光や音、臭いに過敏になったり、吐き気などの症状を伴うのも特徴的でしょう。
片頭痛は女性に多く、男女比は1:4で、20代から50代の発症率が特に高いです。
【原因】
片頭痛は血管性頭痛という血管が原因で起きる頭痛に分類されます。さまざまな要因で脳の神経が刺激され、血管の拡張や炎症が生じることが頭痛につながるのです。
また、母親が偏頭痛を持っていると、遺伝する可能性が高い頭痛です。
発生原因として以下が挙げられます。
- ・ 光や音、臭い
- ・ 睡眠不足
- ・ ストレス
- ・ 天気や温度変化
- ・ 月経
- ・ 飲酒
【対処法】
片頭痛は、頭の片側や前側など部分的に起きる頭痛です。偏頭痛が生じた場合、まずは痛む部位を冷やすのをお勧めします。
また、動くと痛みが悪化しやすいのでなるべく安静にしてください。
睡眠不足など原因がはっきりしているのなら、原因の解決を図るのも良いでしょう。
片頭痛は、病院に行くことで薬での治療を受けることができます。頭痛が生じている時に飲む薬と、予防のための薬があるので、自分に合った薬を処方してもらうようにしてください。
群発頭痛
群発頭痛は、目の片側の奥や側頭部にえぐられるような痛みを感じる頭痛です。痛みがかなり強く、のたうち回るような痛みとも言われます。
1ヶ月間、睡眠中など決まった時間に発症するのが特徴的です。
頭痛以外にも、涙が流れる、目の充血、鼻が詰まる、鼻水が出るといった症状も伴います。
群発頭痛の男女比は5:1で、圧倒的に男性に多いです。20代から40代の、高身長の男性に多く見られるとも言われています。
【原因】
群発頭痛の原因はあまり分かっていませんが、飲酒や炎症などが要因になると考えられています。
ニトログリセリンなどの血管拡張剤も原因になることがあるようです。遺伝が原因になることは少ないです。
発生原因として以下が挙げられます。
- ・ 飲酒
- ・ 喫煙
- ・ 炎症
- ・ 血管拡張剤
【対処法】
群発頭痛は痛みが強いため、市販の頭痛薬はあまり効きません。医療機関を受診して、予防薬などを処方してもらうと良いでしょう。
症状が起きた時は、専用の痛みどめを皮下注射するなどして対応します。
代表的な二次性頭痛
二次性頭痛は、何か病気が原因で起きる頭痛です。
一次性頭痛とは違い、直接命に関わることがあるので注意が必要です。
二次性頭痛に関連する病気は、今までかかって来た病気や頭痛以外の症状により気づくことができます。
心当たりがある方や不安な方は、医療機関に行き診察や検査を行うようにしてください。
くも膜下出血
くも膜下出血は、脳表面の血管が破れて、脳の膜であるくも膜の下に血が溜まることで生じる病気です。
重い障害が残ったり死亡する可能性が高いので、早期発見や早期対応が重要になります。
くも膜下出血による頭痛は、バットで殴られたような強い痛みを感じます。突然痛みが生じるので、普段頭痛がないのに急に痛むような時は注意しましょう。頭痛以外にも吐き気や意識障害、けいれんを伴うことがあります。
【原因】
脳表面にある血液が破れて出血するのが原因です。脳動脈瘤という、血管に血液が溜まり風船状になっている部分が破裂して起きることが多いです。
脳動脈瘤以外にも、脳に腫瘍があったり、血液が固まりにくい病気を持っていると、出血の原因になることがあります。
【対処法】
くも膜下出血は、発症してすぐに医療機関を受診しなければ命に関わります。突然の激しい頭痛を感じたら、躊躇わずに病院へ行くようにしましょう。
脳血管障害
脳血管障害は、脳の血管に血が足りなくなる、または脳内の血管から出血することにより起きる障害です。先述したくも膜下出血も、脳血管障害の一つです。
脳血管障害の中でも、症状として頭痛が生じるのは脳内出血です。
脳内出血は、出血の大きさによって頭痛の程度も変わります。出血してすぐに頭痛が生じるため、日常生活中に前触れがなく痛みを感じるのが特徴的です。
脳の中でも小脳と呼ばれる部位に出血が起きると、後頭部を殴られたような激しい痛みが発生することもあります。
頭痛の他にも、めまい、嘔吐、意識を失う、言葉が出なくなるなどの症状を伴うことがあります。
【原因】
脳内出血には様々な原因がありますが、特に多いのが高血圧です。
血圧が高いと血管が破れやすい状態に陥るので、ふとしたきっかけで出血してしまうこともあります。
【対処法】
突然、頭痛が生じた場合は脳出血を疑っても良いかもしれません。少しでも怪しいと思ったら直ぐに医療機関を受診しましょう。
脳内出血の場合、出血の程度によって治療法が異なります。出血が少なければ、経過観察や血圧の調節、多ければ手術を行います。
脳腫瘍
脳腫瘍は、名前の通り脳の中にできた腫瘍です。
腫瘍ができた位置によって症状は異なりますが、腫瘍によって脳が圧迫され、頭痛が起きることが多いです。
脳腫瘍が原因の頭痛の特徴として、血管の拍動とは関係なく痛む、早朝に痛むなどがあります。
頭痛以外にも、てんかんや嘔吐などが生じることもあります。
【原因】
脳に腫瘍ができたことが原因です。腫瘍が大きくなればなるほど、脳が圧迫されるので頭痛も強くなります。
また、腫瘍が小さくても、腫瘍によって脳の血管が破壊されて脳がむくみ、頭痛につながることもあります。
【対処法】
脳の出血の場合と同様に、早めの医療機関の受診が重要です。
病院で診察を受けたり検査をして脳腫瘍と診断されたら、手術や放射線、投薬で治療をします。
髄膜炎
髄膜炎は、脳を守る膜である髄膜に炎症が起きている状態です。髄膜の炎症により頭痛が発生します。
髄膜炎の頭痛は、頭を横に振ると痛みが悪化するのが特徴的です。
痛みは激しく、頭痛とともに発熱や嘔吐を伴うことも多いです。
【原因】
髄膜炎は細菌やウイルス、真菌などの感染が原因で起きます。
細菌が原因の時は、一見普通の風邪のような症状になることも多いです。
【対処法】
髄膜炎は悪化すると命に関わります。
早期に治療を行えば治る病気ですので、怪しいと思うならはやめに医療機関を受診しましょう。
髄膜炎とわかれば、主に抗生剤やステロイドを飲んで治療をします。
高血圧
高血圧が原因で頭痛が生じることもあります。
通常、脳には血圧を正常に保つためのシステムがあるので、高血圧でも頭痛が生じることはありません。
しかし、高血圧の程度が酷かったり、高血圧が原因で血管に異変が起きていると頭痛が発生します。
高血圧で生じる頭痛は、吐き気やけいれん、意識障害を伴うこともあります。
【原因】
高血圧は、塩分やアルコールのとりすぎや肥満、喫煙などが原因で起こります。
特に塩分は血圧に大きな影響を与えるので、注意してください。
【対処法】
高血圧の治療を行うことが、最も有効な対処法です。食事療法や適度な運動など、高血圧に効果的な対応をしましょう。
高血圧の程度が激しい場合は、専門機関へ相談に行くことをお勧めします。
薬物乱用頭痛
頭痛がひどく、毎日のように頭痛薬を飲んでいる人に生じるのが、薬物乱用頭痛です。
頭痛薬が効かなくなり、頭痛が慢性化してしまうのです。
【原因】
頭痛薬の全てが薬物乱用頭痛の原因になる訳ではありません。原因になる薬を以下に示します。
- ・ NSAIDs
- ・ エルゴタミン製剤
- ・ トリプタン製剤
【対処法】
まずは、頭痛薬を飲むのをやめましょう。
頭痛がひどい場合は、原因となる薬以外の頭痛薬を飲むようにしてください。
日常生活に支障が出るぐらい頭痛がひどければ、病院で頭痛の予防薬を処方してもらえることもあります。
最寄りの医療機関に相談してみてください。
自分の頭痛の特徴と対処法を知ろう
頭痛は日本人の3人に1人が悩まされている疾患です。
自分の頭痛の特徴を知り、より効果的な対策を身につけると楽になるでしょう。少しでも痛みが和らぐ対処法を探してみてください。
今回の記事で紹介したように、頭痛には重大な疾患が隠れていることがあります。
少しでも怪しいと思ったら、医療機関を受診して医師の診察を受けてくださいね。
(なや はるか)
- 病気がみえる vol.7 脳・神経 第2版 MEDIC MEDIA出版
- 厚生労働省 医療関係者の方へ 海外の情報 頭痛
[ https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c05/12.html ] - くすりと健康の情報局 by 第一三共ヘルスケア
[ https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/02_zutsu/ ] - 衛生学教室(頭痛の疫学/頭痛の統計) 頭痛大学
[ http://zutsuu-daigaku.my.coocan.jp/kiso/eisei.htm ]