めまいはどうして起きるの?原因から予防策を詳しく解説

めまいが起きると気分も悪くなり、辛いと思います。
乗り物酔いをした時の気分不快が続くような感じでしょう。
めまいはどうして起きるのでしょうか?出来れば未然に防ぎたいと思います。
そこで今回は、めまいが起きるしくみや種類、原因について詳しく説明していきます。
また、めまいが起きた時の対処の仕方や未然に防ぐ生活習慣についても合わせて解説していきます。

めまいとは

めまいとは、目が回ることやふわふわする、物が二重に見える、気が遠くなる感じがする症状のことを言います。
どのようなめまいがあり、どうしておきるのでしょうか?めまいが起きるしくみとめまいの種類について、お話していきます。

めまいが起きるしくみ
耳の中にある内耳の三半規管と耳石器は、体の平衡感覚に関与します。
三半規管は体の回転で、耳石器は体の傾きや地球の重力です。
人間の身体は、内耳と脳が平衡感覚を保つように機能しています。
そのため、内耳や脳に異常が生じると身体の平衡が保てず、めまいやふらつきが起きます。

めまいの種類
めまいには2つのタイプがあり、「回転性めまい」と「浮遊性めまい」に分かれます。
それぞれの特徴を下記の表に明記しました。

特 徴
回転性めまい
  • ・ 自分自身がグルグル回っているように感じる
  • ・ エレベーターを乗って、ずっと下がるような感じがする
  • ・ 突然発症し、ある一定期間だけ持続、その後は消失する
  • ・ 平衡を保つ機能に強い障害が起きると発症しやすい
浮遊性めまい
  • ・ フワフワと雲の上を歩いているように感じる
  • ・ 突然発症し、ある一定期間だけ持続、その後は消失する場合もある
  • ・ いつの間にか発症し、それが何か月も、何年も続く場合もある
  • ・ 平衡機能の障害が徐々に進行しているときにみられやすい

※ めまいが起きた時は「回転性めまい」と「浮遊性のめまい」のどちらが発症しているのか観察しましょう。
めまいは、耳鳴り・難聴・嘔気嘔吐・頭痛・手足のしびれ・呂律が回らないなどの症状も一緒に出現することがあります。
受診時、診断のポイントとなるので、症状を明確に伝えてください。

めまいの原因

めまいが引き起こしやすいのは、耳・脳・首に関する疾患です。その他の疾患でも、めまいを生じることがあります。
めまいの原因について、項目ごとにお話していきます。

耳に原因があるめまい
耳には体の平衡感覚を保つ機能があるため、障害が起きると回転性のめまいが生じます。
耳が原因でめまいが生じる疾患について、下記に表しました。

特 徴
良性発作性頭位
めまい症
(BPPV)
  • ・ 内耳にある後半規管が刺激され、回転性のめまいが生じる
  • ・ 特定の頭位(寝返りを打つ、起床時)のときに、めまいが発症する
  • ・ めまいは1分以内で、他の症状を伴わない
メニエール病
  • ・ 耳の奥の“内耳”にリンパ液がたまることによって発症
  • ・ 回転性のめまい、耳鳴り、聴力の低下がみられます
  • ・ ストレスや疲労の蓄積で再発しやすい
突発性難聴
  • ・ 原因は解明されず、ストレスやウイルス感染などが要因
  • ・ 第一症状は、突然の難聴
  • ・ その他に、耳閉感、耳鳴り、回転性のめまいなどが出現

脳に原因があるめまい
脳の構造は「大脳」「小脳」「脳幹」の3つに分かれます。「小脳」と「脳幹」は、運動バランスや運動調節機能があるため、異常が起きるとめまいが生じます。
これらが原因でめまいが生じる疾患について、下記に表しました。

特 徴
脳梗塞
  • ・ 動脈硬化や血栓などによって、脳の血管が詰まると発症
  • ・ 浮遊性のめまいが出現しやすい
  • ・ 身体の片側の麻痺・しびれ、気分不快、言葉が出ないなどが出現
脳出血
  • ・ 脳の血管が破れることによる出血
  • ・ めまいの他に、嘔気嘔吐、片側の麻痺、しびれ
くも膜下出血
  • ・ 脳を覆う膜(くも膜)で血管が破れ、出血
  • ・ 主症状は激しい頭痛、バッドで殴られたような痛みが生じる
  • ・ その他にめまいや嘔気嘔吐、しびれなどが出現
脳腫瘍
  • ・ 脳に原発の腫瘍もしくは、転移性の腫瘍の場合がある
  • ・ めまい以外に難聴や耳鳴り、頭痛、吐き気、麻痺、視力低下などの症状が出現
  • ※ 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血は「脳卒中」とも言われます。
  • ※ 現在、日本人の死因第4位は、脳血管疾患です。脳卒中も含まれます。
  • ※ 小脳と脳幹に異常が生じない場合は、めまいが出現しないこともあります。
  • ※ 脳に原因があるめまいは、浮遊性のめまいが出現しやすいです。

首に原因があるめまい
首の筋肉の緊張が強く、首に極端な負担がかかると、めまいを引き起こすことがあります。
首の筋肉が緊張をすると、肩や頭の筋肉も緊張します。そのため、めまいと伴に肩こりや頭痛、頭が重いなどの症状が現れるのが特徴です。
めまいは、一過性ではなく長期間続きます。
めまいの原因が筋肉の緊張のため、筋緊張を和らげる薬の内服により、症状の改善がみられます。

その他に原因があるめまい
めまいを引き起こしやすい原因について、下記に表しました。

特 徴
加 齢
  • ・ 加齢に伴い、血圧の調整や平衡感覚の機能が低下
  • ・ 高血圧にて血圧を下げる薬を内服するも、調整がうまくいかず血圧が下がり過ぎてめまいが生じることもある
内服薬
  • ・ 薬の副作用でめまいが生じることもある
  • ・ 代表的なのは、血圧を下げる薬、精神安定剤、抗がん剤、痛み止め、抗パーキンソン病薬など
  • ・ 市販薬でもめまいが生じることもある
ストレス
  • ・ めまいの検査をしても原因が分からないことがある
  • ・ ストレスにより自律神経の乱れからめまいが出現することもある
  • ・ 20~40代のめまいは、ストレスが原因であることが多い
貧 血
  • ・ 体の中の鉄分が不足することで、めまいが生じる
  • ・ 安静時より、体を動かしているときにめまいが出現する
  • ・ めまい以外に、動悸や息切れなどが起きる
うつ病
  • ・ めまいと伴に、不眠や頭重感が生じやすい
  • ・ フラフラするめまいで、不眠と関係が深い
  • ・ 抗不安薬や抗うつ薬の服用で、めまいが改善することがみられる
  • ・ その他として、体の中の体液減少に伴う脱水・熱中症でもめまいを生じることもあります。
  • ・ 低血糖、更年期障害でもめまいが生じることもあります。
  • ・ 季節の変わり目の寒暖差、台風による気圧の変化など、気候の変化もめまいが生じる原因となります。

※ 原因が特定しづらいめまいは、ストレスが関与していることが多いです。ストレスが排除されると、症状が改善するケースもあります。

めまい発作の対処法

めまい発作がいざ起きてしまった場合、不安になるでしょう。
発作時の対処方法から観察するポイント、救急車を要請するケースについて、項目ごとに説明していきます。

めまい発作時の対処方法
ご家族など身近な方が急にめまいが起きた場合の対処の方法について、分かりやすくお話していきます。

  • 1. まずは、安静にしましょう。
    体動はめまいが増強するので、安静第一です。
  • 2. 本人が安楽な体位をとりましょう。横になる、座るなど、本人に聞いてから体位を整えます。
  • 3. 体を締め付けるネクタイやベルトなどは、緩めましょう。
  • 4. 嘔吐に備えます。仰向けで寝ている場合は、顔は横向きにします。
    ビニール袋やごみ箱、洗面器を用意します。
  • 5. 光の刺激はめまいを増強させることがあります。
    目を閉じるか顔にタオルなどをかけましょう。

(運転中の場合)
運転中にめまいが起きた場合は、路肩に寄せてエンジンを切りましょう。
運転を続けるのは、事故のリスクが高まるため危険です。
めまいがおさまるまで、休みましょう。

(電車の中の場合)
電車の揺れでめまいが増強します。
次の駅で降りて、休みましょう。

※ めまい発作が落ち着くまで、上記の内容を実施してみましょう。

観察ポイント
めまい発症時のポイントは、2つあります。
「どのようなめまいが起きているのか」と「めまい以外の症状」を観察しましょう。

  • 1. 「回転性のめまい」と「浮遊性のめまい」のどちらがのめまいが起きているのかを把握しましょう。
    できれば、めまいの時間も分かると良いです。
  • 2. めまいと一緒に嘔気嘔吐は、起きることが多いです。
    その他にどのような症状が出現しているのか、把握しましょう。
    場合によっては、緊急性のある疾患もあります。
    詳しくは、「救急車を要請する場合」で解説します。

救急車を要請する場合
脳の病気が原因でめまいが生じている場合は、救急車を要請して医療機関を受診する必要があります。
「脳に原因があるめまい」でもお話した脳卒中(脳梗塞、クモ膜下出血、脳出血)は、緊急の治療が必要となります。

めまい以外に、以下の症状がある場合は、救急車を要請することをおすすめします。

  • 1. 呼びかけても反応しない(意識障害)
  • 2. 20分以上続く吐き気
  • 3. バッドで殴られたような激しい頭痛
  • 4. 呂律が回らない、会話が聞き取れない
  • 5. 手足のしびれ、手足に力が入らない

めまいを防ぐために

めまいの原因としては、ストレスや睡眠不足、疲労の蓄積などがあります。
また、めまいを引き起こす脳卒中の危険因子は、糖尿病・高血圧・内臓肥満・脂質異常症・心房細動などの生活習慣病が大きく関与します。
日頃の生活習慣を見直すことで、めまいを予防できるでしょう。

日常生活で気を付けること
  • ・ 栄養バランスのとれた食事
  • ・ 適度な運動
  • ・ 睡眠を十分にとる
  • ・ 規則正しい生活
  • ・ 気分転換をし、ストレスをためない
  • ・ 過度の飲酒はしない
  • ・ 湯船にゆっくりとつかる
  • ・ 暴飲暴食を避ける
  • ・ スマートフォンやパソコンの長時間使用を避ける

※ めまいは、ストレスが関与するので、自分に合った気分転換をしましょう。

まとめ

めまいが起きるしくみや原因から対処法、予防策についてお話しました。
めまいの発症は、ストレスや睡眠、食事などの生活習慣が密接に関わっています。
日頃の生活習慣がめまいの要因となり、発症することがあります。
めまいが起きないために、普段からの予防が大切です。
そして、めまいが起きた場合は、適切な対処をすることで軽減へと導きます。
不快なめまいを防ぐためには、生活習慣から改善しましょう。

(岡野 恭子)

参考文献
  • 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
    [ http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph30.html ]
  • 一般社団法人日本神経学会
    [ https://www.neurology-jp.org/public/disease/memai_detail.html#m_01 ]