在宅医療について ~介護者の負担を軽減しましょう~

在宅で療養生活を継続するには、患者さんだけでなく介護者のサポートが不可欠です。
介護者の協力がないと、在宅療養は成り立ちません。
現在の日本では介護保険制度により、在宅療養生活のためのサービスが確立してきました。
高齢者の人口増加に伴い、高齢者を支える家族に向けた支援も増えつつあります。介護者の方々の負担を軽減するには、在宅サービスの活用方法が重要となります。
そこで今回は、在宅療養をする上での介護者のサポートに視点を向け、利用できる在宅サービスについて介護保険適用内外を含めて詳しくお話していきます。

介護者へのサポートについて

在宅での療養生活を本人と家族ともに希望するも、介護者の負担が大きく継続しない場合があります。
患者さんの病状が悪化する、もしくは介護者が体調を崩すケースなどが見られます。やはり、介護者にも負担は大なり小なりかかりますよね。
在宅療養を継続するには、介護者のサポートも大切です。

近年では、介護者の負担を軽減する「レスパイトケア」が注目されています。
まずレスパイトとは、「小休止」「休息」「息抜き」という意味です。レスパイトケアとは、介護者の疲れや負担を軽減し、リフレッシュできるよう援助することです。

介護の負担によって、自宅での生活が中心となり、息抜きができないと介護者の精神状態に影響を及ぼすことがあります。

介護者の負担を軽減するためには、様々な在宅サービスを上手に利用することをお勧めします。
家族だけで介護をするのではなく、在宅サービスを利用することで、介護者の負担が軽減するでしょう。
在宅サービスを利用するには、介護保険の申請をしたほうが良いです。介護保険内で低料金のサービスを受けることが可能です。
介護保険の審査に通らないこともあります。料金がかかることもありますが民間会社の在宅サービス、もしくは市区町村が独自で行っている在宅サービスなどがあります。介護保険の申請方法と、介護保険が通らない場合について、お話します。

介護保険の申請方法とケアマネジャーの選定
介護保険サービスを受けるためには、要介護認定が必要です。
自分の住んでいる区市町村の窓口に介護保険の申請をします。
申請をしてから、判定の通知が出るまでに約1か月かかります。介護保険の申請をすると、判定が出る前でも在宅サービスを受けることが可能ですよ。
患者さんに合った在宅でのケアプラン(介護サービスの計画書)を作成するのが、ケアマネジャーの役割です。
ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所に在籍しています。
区市町村の介護保険申請窓口で、近隣地域の居宅介護支援事業所の一覧表を提示されます。ケアマネジャーの選定をするのは、患者さんもしくは家族です。
そして、在宅サービスの相談窓口は、ケアマネジャーとなります。
ケアマネジャーとは長い付き合いになるので、自分に合う方を選びましょう。

介護保険が通らない場合
区市町村では、高齢社会への適応のため、独自の在宅サービスを行っています。
例えば、デイサービスや配食サービスなどがあり、低料金でサービスを受けられます。
介護保険を申請した窓口で、受けられるサービスについて、相談してみましょう。
地域性を考慮した、区市町村の独自のサービスを知る良い機会となります。
また、料金は発生しますが、民間会社が行っている在宅サービスも検討してみましょう。

※ 区市町村が独自で行っている在宅サービスは、介護保険の範囲内で利用している在宅サービスとは別です。
そのため、区市町村の在宅サービスと併用して、介護保険内のサービスも利用可能です。
なかには、どちらのサービスも併用している方もいます。

介護保険適用の在宅サービス

介護保険に適用する在宅サービスについて、お話します。
どのサービスが適しているか考慮して、利用してみましょう。

施設に通う
自宅まで送迎付きで、介護施設などでサービスを受けます。

サービス名称サービス内容
デイサービス(通所介護) 主に朝から夕方まで、介護施設などで過ごすサービスです。
食事や入浴、レクリエーションなどを行っています。デイサービスの時間、介護者の方はリフレッシュできると思います。
デイケア(通所リハビリテーション) 医師の指示のもと、老人保健施設などに通って、リハビリを行います。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などから、利用者さんに必要なリハビリを実施しています。
サービス
名称
デイサービス(通所介護)
サービス
内容
主に朝から夕方まで、介護施設などで過ごすサービスです。
食事や入浴、レクリエーションなどを行っています。デイサービスの時間、介護者の方はリフレッシュできると思います。
サービス
名称
デイケア(通所リハビリテーション)
サービス
内容
医師の指示のもと、老人保健施設などに通って、リハビリを行います。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などから、利用者さんに必要なリハビリを実施しています。

※ どちらのサービスもお試し体験をしてから、サービスを開始することができます。
なかには、サービスの利用をいやがる方もいるので、気を付けましょう。無理強いは続きませんね。

自宅に訪問
患者さんの中には、自宅以外でのサービスを好まず、自宅で過ごしたい方もいます。
自宅に訪問するサービスについて、「訪問介護」と「訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション」と分けてお話します。

・訪問介護
訪問介護は、介護の資格を持った訪問介護員が利用者の自宅を訪問し、食事や掃除などのサービスを行います。
訪問介護は「身体介護」「生活援助」「通院時の乗車・降車等の介助」に分かれます。

サービス名称サービス内容
身体介護 身体に直接触れて行う介護で、介護者の負担が大きい場合に利用されています。
食事介助、オムツ交換、入浴介助、屋内外の移動介助などが挙げられます。
生活援助 生活に必要な家事の援助をします。
掃除、洗濯、調理などを一緒に行います。
通院時の乗車・降車の介助 通院時に利用できるサービスです。
訪問介護事業者の車両で、訪問介護員が通院時の送迎から付き添い、薬の受け取りまで通院のサポートをします。
サービス
名称
身体介護
サービス
内容
身体に直接触れて行う介護で、介護者の負担が大きい場合に利用されています。
食事介助、オムツ交換、入浴介助、屋内外の移動介助などが挙げられます。
サービス
名称
生活援助
サービス
内容
生活に必要な家事の援助をします。
掃除、洗濯、調理などを一緒に行います。
サービス
名称
通院時の乗車・降車の介助
サービス
内容
通院時に利用できるサービスです。
訪問介護事業者の車両で、訪問介護員が通院時の送迎から付き添い、薬の受け取りまで通院のサポートをします。

※ 訪問介護は、日常生活において必要なことをサポートしています。
訪問介護の規定以外のサービスは受けられませんので、注意しましょう。

自宅に訪問するその他のサービスについて、お話します。

サービス名称サービス内容
訪問入浴介護 看護師と介護士が利用者の自宅を訪問して、持参した浴槽で入浴介助をします。
訪問看護 看護師が利用者の利用者の自宅を訪問して、医師の指示のもと、健康管理などを行います。
訪問リハビリテーション 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者の自宅を訪問して、医師の指示のもと、リハビリを行います。
在宅での生活のための筋力低下予防を含めたリハビリの内容です。
サービス
名称
訪問入浴介護
サービス
内容
看護師と介護士が利用者の自宅を訪問して、持参した浴槽で入浴介助をします。
サービス
名称
訪問看護
サービス
内容
看護師が利用者の利用者の自宅を訪問して、医師の指示のもと、健康管理などを行います。
サービス
名称
訪問リハビリテーション
サービス
内容
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者の自宅を訪問して、医師の指示のもと、リハビリを行います。
在宅での生活のための筋力低下予防を含めたリハビリの内容です。

※ 専門職の訪問時には、質問や相談などをしましょう。
介護者の方は、ひとりで悩みなどを抱え込まず、そのつど話すことが大切です。

短期間の宿泊
・ショートステイ
ショートステイは、介護施設などに宿泊をして介護サービスを受けます。
最大30日まで連続して利用可能です。介護者の急な用事やリフレッシュ目的としても利用ができます。
定期的に利用している方もいれば、不定期に利用するなど様々です。
自宅まで送迎してくれる施設もあります。
施設のベッドが空いてないと、利用できないところが注意点です。

その他
在宅での生活時に必要な用具のサービスと、住宅の改修についてのサービスについて、お話します。

サービス名称サービス内容
福祉用具貸与・購入 在宅での療養生活を送るために、福祉用具の貸与と購入のサービスがあります。
福祉用具の購入は、主に入浴や排泄など貸与に適さない用具です。
介護保険にて、料金の自己負担が軽減されます。
住宅改修 在宅で安全な生活を送るために、手すりの設置や段差の解消など、住宅改修が必要な場合があります。
介護保険より、工事費の自己負担が軽減されます。
サービス
名称
福祉用具貸与・購入
サービス
内容
在宅での療養生活を送るために、福祉用具の貸与と購入のサービスがあります。
福祉用具の購入は、主に入浴や排泄など貸与に適さない用具です。
介護保険にて、料金の自己負担が軽減されます。
サービス
名称
住宅改修
サービス
内容
在宅で安全な生活を送るために、手すりの設置や段差の解消など、住宅改修が必要な場合があります。
介護保険より、工事費の自己負担が軽減されます。

※ 福祉用具貸与・購入と住宅改修は、要介護度によって様々な規定がありますので、注意してください。

注意点
要介護度によって、介護保険利用の自己負担上限額は異なります。
上限金額を超えた場合は、全額自己負担です。在宅サービスを受ける上では、サービスの料金と内容と利用回数を考慮しましょう。
在宅サービスの変更や追加などの相談は、ケアプランを作成しているケアマネジャーにしましょう。

介護保険適用外の在宅サービス

介護保険範囲外のサービスなので、自費の負担はかかります。
民間会社を利用した様々な在宅サービス、そしてレスパイス入院を紹介します。

サービス名称サービス内容
家事代行サービス 料理、洗濯、掃除などから、幅広く家事を行うサービスです。
庭の手入れ、窓ふきなど訪問介護では対象にならない家事も利用できます。
訪問理美容サービス 理髪店・美容店の方が自宅に訪問して、散髪を行います。
外出困難な方や理美容店へ連れて行くのが大変な方にお勧めです。
宅配・配食サービス 食材の買い出しに負担を感じる方には、宅配サービスがお勧めです。
事前に注文した品物を自宅まで運んでくれます。
毎食の調理が大変な方には、配食サービスもあります。
1日1食のみ利用している方もいます。
糖尿病や腎臓病などの治療食が必要な場合にも対応している会社もあります。
移送・送迎サービス 車椅子での外出をサポートするサービスです。
リフト付きの介護タクシーを利用して、利用者の希望の場所へ送迎します。
場合によって、看護師やヘルパーの同乗も可能です。
サービス
名称
家事代行サービス
サービス
内容
料理、洗濯、掃除などから、幅広く家事を行うサービスです。
庭の手入れ、窓ふきなど訪問介護では対象にならない家事も利用できます。
サービス
名称
訪問理美容サービス
サービス
内容
理髪店・美容店の方が自宅に訪問して、散髪を行います。
外出困難な方や理美容店へ連れて行くのが大変な方にお勧めです。
サービス
名称
宅配・配食サービス
サービス
内容
食材の買い出しに負担を感じる方には、宅配サービスがお勧めです。
事前に注文した品物を自宅まで運んでくれます。
毎食の調理が大変な方には、配食サービスもあります。
1日1食のみ利用している方もいます。
糖尿病や腎臓病などの治療食が必要な場合にも対応している会社もあります。
サービス
名称
移送・送迎サービス
サービス
内容
車椅子での外出をサポートするサービスです。
リフト付きの介護タクシーを利用して、利用者の希望の場所へ送迎します。
場合によって、看護師やヘルパーの同乗も可能です。

※ 区市町村によっては、訪問理美容サービスと配食サービスを行っています。
詳しくは、自分の住んでいる区市町村へお問い合わせください。
配食サービスは、弁当もしくは飲み物などで、安否確認をしつつサービス提供をしていることもあります。

・レスパイス入院(レスパイト入院)
レスパイス入院の目的は、介護者の疲れや負担を軽減するためです。
レスパイス入院を取り入れている医療機関もあります。
利用を検討する際には、申し込みなどが必要なので、医療機関に問い合わせてみましょう。

まとめ

在宅で療養生活を送るために、介護者の負担を軽減するためのサービスを含めて紹介しました。
在宅療養生活は、患者さんだけでなく介護者のサポートも大切です。
現在の日本は、高齢社会に伴う医療や介護のサービスが拡大しつつあります。
日本政府も在宅医療を普及させる取り組みをしています。
在宅での療養生活を継続させるためには、患者さんと家族を支える仕組みづくりがポイントとなるでしょう。

(岡野 恭子)

参考サイト
  • ・介護保険の解説 -サービス編 厚生労働省
    [ https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/service.html#service5-11 ]
  • ・介護疲れを癒すレスパイトケア!タイプ別におすすめサービスを解説
    [ https://www.unimat-rc.co.jp/media/respite-care ]